ちょっと豆知識
- 代表的な形は、3種類。
- 名は、体(サイズ)を表す。
- 封筒には、オシリも頭もある?
- 個性いろいろ。
- 長形封筒 長形3号 長形4号
- 角形封筒 角形2号 角形20号
- 洋形封筒 洋形2号
1.代表的な形は、3種類
「封筒」という言葉が表しているように、そもそもは筒状の袋の底を閉じ、中身を入れて「封」をするもののことを指しました。数え方も、何も入っていない状態なら「1枚」「2枚」と「枚」を使いますが、中身が入っていると「封」を単位とします。封筒とひと口に言っても、今ではその種類も用途も多種多様。それぞれの用途に合うように形やサイズもバリエーションに富んだ発展を遂げてきました。オリジナルの形状も合わせると、それこそ数え切れません。「たかが封筒、されど封筒」。その多彩さの一端を、ご紹介しましょう。
まず、普段の生活でよく利用する封筒には形状の特徴から
- 長形封筒(縦の長さが横の長さよりも2倍程度、もしくはそれ以上あるもの)
- 角形封筒(横の長さの比率が長形封筒よりも大きいもの)
- 洋形封筒(上記二つの封筒とは異なり、縦横いずれか長い方に封入口があるもの)
の3種類に大別できます。それぞれに大小様々なサイズがありますが、そのうちのいくつかは家庭やオフィスの備品としてストックされていることでしょう。
長形封筒では封入物を三つ折りなど折って入れる場合が多いため、封入枚数が少ない場合や小さなものを送るのに適しています。縦に長い形は、縦書きの日本語と相性が良いことから別名「和封筒」とも呼ばれます。定形郵便として扱われるので郵送料が安く済むというメリットも。そのため、ビジネスシーンはもちろん、一般郵便物としても多く利用されている、いわば封筒の代表格。郵便以外でも、身近なところではお札の形状に合っているため銀行の現金袋や月謝袋など、お金を入れる袋としても利用されています。そう言えば、郵便局の現金書留用封筒も長形封筒で、お札を入れるという機能も同じですね。
洋形封筒はその名が示すように、海外での主流派封筒。外国から届くエアメールやクリスマスカードなどは、たいてい洋形封筒に入れられて送られてきませんか。封入口が広く開けやすくなっているため、ダイレクトメールやイベントの案内状、グリーティングカードなどにも重宝されています。長形封筒や角形封筒に比べ、ダイヤ貼りという洋形封筒独特の貼り方は、展開するとダイヤ形、つまり菱形になることに由来しています。レターセットなどにも好まれるタイプですね。結婚式などの招待状にも洋形封筒が多いのは、そのデザイン性によるところも大きいでしょう。長形や角形封筒に比べ、パーソナルな感じが強いのも好まれる点かもしれません。なお、洋形封筒も定形郵便として扱われるので、郵便料金を気にすることなく手紙が出せます。
3種類の封筒の特長をまとめると、長形は手紙を定形郵便料金で安く気軽に送ることができ、角形はA4やB5サイズの用紙や雑誌を折らずに入れるのに便利で、洋形封筒は外国生まれということ。これら3つの形に進化を遂げたのには、それなりの理由があったというわけですね。
余談ですが、定形郵便だからといって、一律同額82円(2016年現在)とは限りません。郵便料金は重量制が基本なので、「少し重いかも…」と思ったら郵便局で重さを確かめてもらってから投函することをおすすめします。ちなみに、定形郵便の場合、現在、25g以内だと82円。50g以内だと92円の郵便基本料金となっています。
2.名は、体(サイズ)を表す。
封筒にはオシリと頭があるのを、ご存じですか?
長形封筒や角形封筒の裏を返してみてください。底を閉じている部分がありますね。この部分を「オシリ」と呼びます。閉じていない、つまり、封入物を入れる口の部分を「頭」あるいは「ベロ」と言います。ベロの部分は、フラップ(蓋)と呼ばれることもあります。そう言えば、ポケットのフラップに形が似ていますね。フラップの下端には折って封をする折り線がついていますが、これを口筋またはベロスジというそうです。オシリと頭だけではありません。封筒には、「肩」まであります。封筒裏の中心に貼り合わせ部分がありますね。そこに向かって口部分がゆるやかに下がっていませんか。ここが、封筒の「肩」。封筒の肩は、どうやらなで肩のようです。さらに、貼り合わせ部分の上になっている側を上前(うわまえ)、下になっている側を下前(したまえ)と呼ぶところは、まるで、着物のようですね。着物は「なで肩」の方が似合うと言いますし、封筒は「大切な手紙を包む着物」と考えれば、これらの呼称も粋に思えてきませんか。
4.個性いろいろ。
ところで、封筒の個性は、形の違いだけではありません。貼り合わせ方もいろいろあって、それぞれに呼び名までついています。例えば、よくある裏面の中央で貼り合わせているものを「センター貼り」、左右どちらかの側で貼り合わせているものは、「隅貼り」または「サイド貼り」、「Lタイプ」などと呼びます。洋形封筒は、展開するとトランプのダイヤの形になることから「ダイヤ貼り」。変わったところでは、左右どちらにも糊しろがあるものを「カマス貼り」と言い、口が広く入れやすいのが特徴です。
貼り合わせ方だけではありません。封筒には窓まであります。封筒の「窓」とは、宛名の部分が見えるように開いている枠のことを言います。主に請求書など、中の書類にあらかじめ宛先が印刷されているものに使われます。窓にもそれぞれ呼び名があり、窓部分がセロハンタイプのものは「セロ窓」、グラシン紙を用いたものは「グラシン窓」、切りぬいたままは「オープン窓」と言うのだとか。「オープン窓」は、その形態上、内容物が破損する可能性があるため、郵送用には使えません。グイーティングカードなど直接手渡しするもの向きと言えます。
また、CDなどの郵送用に内側に緩衝材を貼ったタイプもあります。そういえば、書類の保存用によく使われるもので、繰り返し開閉ができるようにフラップ部分に玉ヒモがついていているものもありますね。大量の書類の郵送や整理ができるように、側面にマチがついているものも。こんなふうにざっと眺めただけでも、封筒って、本当に多彩で個性派ぞろい。
では、実際にどんなサイズがあって、それぞれどのような用途に適しているのか、代表的なものをご紹介しましょう。
・長形封筒
長形3号
日常生活からビジネスシーンまで、私たちの生活の中でもなじみの深い「長形封筒」ですが、なかでも最もビジネス向きの封筒が長形3号です。長形3号は、定形郵便内での最大サイズで、ヨコ幅120ミリ×タテ幅235ミリのもの。定形郵便の基本料金で郵送することができる最大サイズとあって、オフィスで使用するする社用封筒などはもっぱら長形3号が採用されています。A4用紙を3つ折りにして入れることができるため、各種DMや請求書、納品書などのビジネス文書の送付などに便利で、ビジネスの最前線で日々活躍している頼もしい封筒と言えるでしょう。履歴書の郵送などにもよく使われますね。
長形4号
長形3号よりも数字が1つ大きい4号だから、3号よりも一回り大きなサイズと考えられがちですが、実は、ヨコ幅90ミリ×タテ幅205ミリと、名称とは逆にサイズは小さくなります。この考え方は長形封筒だけではなく、他の角形封筒や洋形封筒にも共通しています。B5用紙の3つ折りが入るサイズ、つまり、便せんを折りたたんで入れるのに最適です。そのため長形4号は、長形3号よりも普段使いの封筒、日常シーン向けと言えるでしょう。近ごろはメールで済ますことも多くなっているようですが、改まったお礼状や心のこもった手紙は、できれば長形4号の封筒に入れ、手書きで気持ちをこめて送りたいものですね。一筆箋として人気の便せんも、長形4号封筒にぴったりのサイズです。
・角形封筒
角形2号
角形2号はヨコ幅240ミリ×タテ幅332ミリでA4判サイズが入るサイズの封筒として、最もポピュラーなタイプです。ビジネス文書や書類、コピー用紙などは、たいていA4サイズなので、オフィスはもちろん家庭でも常備されていることが多い封筒でしょう。雑誌もすっぽり入ります。その他にも、新聞を4つ折りにして入れるのにも適していますね。A4用紙を折らずに収納できるので、資料の整理などにもよく利用されています。とにかく使い道がいろいろ。最も身近な封筒と言えるでしょう。
角形20号
角形20号は、角形2号とサイズが似通っているため混同されることの多いサイズです。どちらかしか扱っていないという店も多いでしょう。A4判サイズの資料などを折り目をつけることなく、そのまま封入できるため、角形2号同様、ビジネスシーンなどで大いに活躍しています。
違いは、角形20号はヨコ幅229ミリ×タテ幅324ミリなので、角形2号よりも一回り小さいこと。つまり、A4用紙のサイズ(ヨコ幅210ミリ×タテ幅297ミリ)により近いサイズであることです。そのため、A4サイズの資料や雑誌などをピッタリのサイズで郵送したい、あるいは保存したい場合に適しています。角形2号では封入物が、どうしても封筒内で動いてしまいます。それを避けたいという理由などで、愛用する向きも多いと聞きます。角形2号はA4資料をたくさん保存・郵送したい場合、角形20号はきっちり保存・郵送したい場合などと、互いの特徴を活かした使い分けをするといいですね。
また、角形20号封筒は、国際A4規格と言われるC4封筒(ISO規格)と全く同じサイズです。いわば、国際標準のA4サイズ封筒と言えます。
・洋形封筒
洋形2号
洋形2号は、その名のとおり海外でよく使われているタイプの封筒です。バースデーカードやクリスマスカードなどのグリーティングカードを郵送したり、贈ったりするのに最適。また、定形サイズのはがきが収まるサイズなので、結婚式の招待状など出欠の返信が必要な招待状などにも、よく使われます。ヨコ幅162ミリ×タテ幅114ミリの大きさなので、標準的なサイズである写真のL判サイズ(127ミリ×89ミリ)が入るため、手紙に写真を添えて送りたい場合などにもぴったり。レターセットなどでもよく見かけるのがこのタイプの封筒です。私的な手紙やカードの郵送に、あれこれ色やデザインにもこだわって選びたいですね。